リサイクルの盲点

 

リサイクルとは、モノを捨てずに、分別して収集し再利用することです。近年、環境問題の激化とともに、環境保護の見地から、そして、有限な資源の有効利用のため、リサイクル推進の掛け声が一段と大きくなってきました。

 

それを後押しするかのように、各自治体もそれぞれの取り組みを見せ、環境省も推進の施策を講じています。しかし、早くからリサイクルの盲点を指摘してきた人は、このような問題提起をしています。「牛乳パックをリサイクルして再利用がパルプ節約になり、森林資源保護につながるからというのがこのリサイクルの動機であろうが、それは認識の基本的な誤りである」というものです。

 

牛乳パックをリサイクルして、トイレットペーパーを作るとします。するとこれが、トイレットペーパーを新しく作るよりも高くなってしまうのです。市民グループから引き取った牛乳パックが、工場に山積みにされていたという光景が見られました。それは、こうして作るトイレットペーパーが売れないからです。

 

それを尻目に、“リサイクル運動”はますます過熱していき、学校で牛乳パックの一斉回収を行えば、我が子に一つでも多くパックを持たせるために、親たちが飲みたくもない牛乳まで買うといった、笑い話めいたエピソードまで現出したようです。これでは、やはり、資源の節約どころか、それを目指す“リサイクル運動”が図らずも資源の浪費、つまり、不要なまでの消費をあおっていることになるでしょう。